■チタンとは? ■なぜ色彩が見えるの?
■陽極酸化法と当社の技術について ■チタン発色の特徴
■酸化チタンの光抗菌について
 
■チタンとは?

チタンは古くから酸化チタンの形で白色顔料として使われていましたが、単体の金属として使用されるようになったのは第2次世界大戦以降です。チタンの特長を一言で言うと「軽い、強い、サビない」。鋼と比べると比重は約3分の2なのに対し、強度は同等、耐食性も抜群です。このような特長から需要の大半は、ジェット機や人工衛星の機材用でしたが、近年の研究開発により「人体に害を与えない」など、新しい特性が見出され、医療分野や装飾品に使われるなど各界で新素材として注目を集めています。
チタンの赤ちゃん
 
■なぜ色彩が見えるの?

錆びない金属チタンも、表面は極めて薄い自然生成の酸化膜(チタンと酸素の化合物(TiO2)に覆われています。この薄膜はチタンの錆とも言えますが、屈折率の高い透明な膜を形成しており、この皮膜がプリズムの役割を果たして光線を屈折させる為、光が干渉し合いある波長の光が抜け出しあたかも着色されたかのように見ることができます。そして、この酸化皮膜の厚さを人工的にオングストローム(10-8cm)単位で調整してやると、光の波長の違いによって無数に近い色を表現できます。しかもこの皮膜は、屈折率の高い透明な皮膜ですから、艶やかで鮮やかな色合いを出す事ができます。
 カラー帳
 
■陽極酸化法と当社の技術について

チタン酸化膜の厚みのコンクールは、極めて高度の技術を必要とします。当社では、陽極酸化法によって再現性に優れた処理技術を確立しています。陽極酸化は簡単に言えば、水の電気分解時に発生する酸素を上手に利用したものです。溶液中に、Ti の板(酸化させたいもの)を陽極(+)にし、通電性の良いものを陰極(-)にして電流を流すと水が電気分解されて、Ti 板の表面で発生した O が Ti と結合し(O2→(O)+2e-)TiO2の皮膜がTi の上で生成、成長します。皮膜の厚さは、印加する電圧と時間を微細にコントロールすることで、オングストローム(10-8cm)単位まで調整が可能になりました。また、虹色を発色させるグラデーションカラーは、処理液中に浸漬したままで電圧を変化させ、この膜厚を徐々に変化させていくもので、ドットの大小で表現する印刷の技法とは全く異なる処理方法です。
発色の様子(陽極酸化)
 
■チタン発色の特徴

チタンの発色は、朝・夕の光の変化や光源の種類・また見る角度の違い等によって微妙に変化して見えます。チタンの発色は、その光の持つスペクトルのカラーが色彩となって見えているため、光源によって若干の変化があります。より奇麗に見るためにはハロゲンランプによる照明が有効です。また、見る角度によっても屈折度が微細に変わるため色も微妙に変化して見えるという特長があります。
 
■酸化チタンの光抗菌(殺菌)力について

◎酸化チタンとは、チタンと酸素の無機化合物で、一般的には食品の添加物や塗料の顔料・ 化粧クリームの添加物などに使用されております。酸化チタンには、結晶構造の違いによりルチル型とアナターゼ型の2種類があるといわれ、このうちアナターゼ型の方に光抗菌効果があります。陽極酸化による酸化チタンの薄膜は、化成処理時の温度の特性によりそのほとんどがアナターゼ型の結晶となってチタン表面上に生成されます。

◎光抗菌作用のメカニズムは、酸化チタンに光があたると、表面にプラスの電気を持つ正孔とマイナスの電気を持つ電子が放出されます。光によるこのエネルギーは、水に含まれる溶存酸素に電子を与えて活性酸素(フリーラジカル)を形成したり、水を分解して水素と酸素を発生させます。この過程で生じた水素と活性酸素の作用により殺菌や有機物の分解を行い、このとき雑菌・酸味なども分解されることにより飲物がまろやかな味になるわけです。

◎水の入ったコップに、チタン発色したものを入れて光のあたる窓辺に置くと、1~2時間で表面に微細なアワが沢山発生してきます。光のエネルギーで水が分解されているのが分かります。光のあたらない暗い所に置いた場合でも、前もって光を充分にあてておくとアワが発生します。また、光のあたる所でも、長時間水に入れたままにしておくとアワの発生が徐々に少なくなっていきます。しかし再び乾燥することにより元の表面に戻す事ができます。この光抗菌作用は、酸化チタンの薄膜がある限り繰り返されます。

クリック ←水が分解されて、チタンの表面に
 泡が出てきます(クリック拡大
)

◎酸化チタンの光抗菌効果をフルに活用するには、適度の湿気か水があって時々乾燥出来る状態で尚かつ光のあたる環境が最も望ましいと考えられます。人の肌に接するアクセサリーや、日常的に使用する食器・腕時計。メガネなどを含め、生活環境の浄化に応用が期待できます。